
電動ベッド(リクライニングベッド)について皆さんはどのようなイメージをお持ちでしょうか。おそらく、介護ベッドをイメージされる方が多いと思います。もしくは老人が使うものだという認識が強いことでしょう。
しかし、最近は若い方の購入が増えています。休日はベッドの上で過ごすライフスタイルが一般化しつつあるためと考えられます。電動ベッドなら上体を起こした状態でスマホを見ることができて快適なのですね。確かにウチの子供たち(大学生と高校生)を見ていても休日は昼頃までベッドの上で過ごすことが多く、ヘッドボードの前に置いた枕とクッションにもたれ掛かっていますから、電動ベッドは理に適っているのだと思います。
そうは言っても、電動ベッドは一般的に高価です。そんなにたくさん売れるはずがない…と思っていたら、今やベッド販売台数の3割以上を占める家具販売店も珍しくないそうな。
というわけで今回は、電動ベッドの選び方とオススメ商品についてまとめてみたいと思います。
※この記事は2025年6月1日時点の情報に基づいています
電動ベッドの選び方
フレームとマットレスはセットで購入

電動ベッドはフレームとマットレスが別になっているもののほか、セットもしくはそれらが一体になっているものがあります。
理想を言えば、寝心地がもっとも気に入ったマットレスと、機能や予算などに納得したフレームを組み合わせるのが良いでしょう。しかし、電動ベッドとマットレスには相性があります。マットレスが折れ曲がる位置やマットレスの大きさが異なることもあるので、基本的には同じメーカーで揃えたほうが無難です。
非課税対象は介護用
電動ベッドを探していると、「非課税」と表示されている商品があることに気付くと思います。一定の条件を満たせば消費税の課税が免除されるということですが、これは簡単に言うと、”身体に障害を有する者が家庭において使用する寝台”であることが条件となります。そのほかの条件は概ね以下の通りです。
- 身体に障害を有する者の頭部及び脚部の傾斜角度が調整できる機能を有するもの
- 本体の側板の外縁と側板の外縁との幅が100㎝以下のもの
- サイドレールが取り付けてあるもの又は取り付け可能なものであること
- キャスターを装着していないものであること
つまり、上体しか傾斜しないものや、セミダブル以上のサイズ、サイドレールの取り付けができないもの、キャスター付きの折り畳みタイプなどは対象とはなりません。
なお、購入に際して、要介護認定を受けているとか、身体障害者手帳を持っているかなどといった証明を求められることはありません。あくまで非課税対象品として国の基準を満たしていることが重要です。たとえば自分で起き上がるのが難しくなった親のために、子供が代理で購入するということも可能です。
2モーターがオススメ
モーター | 動作 |
---|---|
1 | 頭側のみ、または頭側と脚側が同時に傾斜 |
2 | 頭側と脚側がそれぞれ独立して傾斜 |
3 | 上記に加え、床板が昇降 |
4 | 上記に加え、首部分が傾斜 |
電動ベッドにはモーターが使われており、その数が多いほど優れている半面、高価になります。
介護用ではなく、あくまでリラックスすることが目的であれば、2モーターがオススメです。頭側と脚側がそれぞれ独立して傾斜するので、好みのポジションが得られます。脚側が動かせると、脚のむくみを取るにも最適です。
それに対し、1モーターは脚側が上がらない、もしくは連動して動くことで最適なポジションが得られにくいといったデメリットがあります。連動して動く場合はパワー不足、時間が掛かる、負荷が大きく壊れやすいという問題もあるかもしれません。
3モーター、4モーターは基本的に介護用と考えてもらったら良いでしょう。
音声操作が便利
電動ベッドは付属のリモコンで操作するのが一般的です。有線、コードレスのほか、スマホアプリや音声で操作できるものもあります。
スマート家電をお使いの方は分かると思いますが、スマホアプリなら細かな設定ができて便利です。音声操作までは要らないんじゃないかと私は思っていましたが、これがとても好評のようです。リモコンを探す必要がないほか、リモコンに手を伸ばすのが面倒臭いということが多々あるからです。
電動ベッドのメリットとデメリット
メリット
- 寝たままでテレビ視聴や読書がしやすい
- 最適な姿勢で眠ることができる
- 脚のむくみを解消できる
- いびきを防止できる
- 呼吸や消化器系の負担軽減
- ケガをしたときも安心
- 老後も安心
ここで電動ベッドのメリットとデメリットをまとめてみたいと思います。
まず、電動ベッドを手に入れれば休日や就寝前の過ごし方が一変します。ベッドの上でもテレビ鑑賞や読書が楽です。少し上体を起こし、軽く脚を上げた状態、いわゆる無重力状態で眠りに就くことができます。自動的に水平に戻るようにタイマー設定できるモデルもあります。
健康面でもメリットがあります。脚を少し高くすることでむくみを解消できます。シモンズの「シムレスト」ように「いびき解消モード」を搭載したモデルや、テンピュールの「エルゴ スマート」のようにいびきを感知して自動で上体を少し上げて気道を確保するものもあります。呼吸をしやすくしたり、逆流性食道炎の緩和に役立つこともあるでしょう。
個人的な話ですが、鎖骨を折ったときに起き上がるのに苦労しました。それに比べたら大したことはないですけど、ひどい腰痛のときは横になるのも痛いです。電動ベッドがあればそういったときも楽に寝起きできるに違いありません。一時的な怪我や不調だけでなく、年老いても助かることが多いと思います。
デメリット
- 価格が高い
- 重い
- 故障、メンテナンス、修理費用
- 幼児が怪我をする心配
一方で、電動ベッドにはデメリットもあります。まず、価格は一般的なベッドに比べると高価です。マットレスは電動ベッド用と言っても割高になることはないですが、フレームは安くても3万円以上、一般的には10万円以上が目安です。
フレームは鉄でできている部分が多いため重く、移動は困難です。キャスター付きのものでも一般的なベッドに比べると移動は軽々とはいかないでしょう。なお、介護用ベッドと違って搬入が困難だったり、設置スペースを多く必要とすることは少ないと思います。
そのほか、電化製品のため故障するリスクはあります。メンテナンスが必要だったり、修理費用を伴うこともあるでしょう。もちろん、いつかは寿命を迎えることになります。
また、事故防止策が講じられているモデルもあるものの、多かれ少なかれ機械に手を挟まれる可能性があります。特に幼児がいる家庭では注意が必要です。
代表的な電動ベッド12選
音声操作対応
シモンズ/シムレスト
モーター数 | 2(ドイツOKIN製) |
---|---|
傾斜角度 | 背:0~65度 脚:0~38度 |
リモコン | ワイヤレス |
スマホアプリ | ○ |
音声操作 | ○ |
USBポート | ○ |
マットレス | ポケットコイル(4種類) |
サイズ | S / SD |
製造国 | フレーム:中国 マットレス:日本 |
税込価格 | 220,000円~ |
それでは、代表的な電動ベッドを紹介して参りましょう。まずは家具販売店でとてもよく売れていると言われているシモンズの「シムレスト」です。
シムレストはシモンズの電動ベッドでスタンダードモデルに位置付けられますが、それでも20万円オーバーです。決して安くはないものの、スマホアプリや音声操作にも対応していて、おまけに日本製のシモンズのポケットコイルマットレス。ちょっとお金に余裕のある人が他社商品と比較すれば、自ずとこれを選ぶのも納得してしまいます。
ボタン一つ、もしくは一声で、いびき防止、テレビ、リラックスのポジションに移行できます。また、スマホアプリのアラーム機能を使えば、指定した時刻に任意のポジションになり就寝や起床をサポートしてくれます。
源ベッド/スリーピー
モーター数 | 2(ドイツOKIN製) |
---|---|
傾斜角度 | 背:0~60度 脚:0~38度 |
リモコン | ワイヤレス |
スマホアプリ | ○ |
音声操作 | ○ |
USBポート | ○ |
マットレス | ポケットコイル |
サイズ | S / SD |
製造国 | フレーム:中国 マットレス:日本 |
税込価格 | 152,890円~ |
もう少し手頃なところでは、源ベッドの「sleepy(スリーピー)」があります。スリーピーもスマホアプリや音声操作に対応しており、日本製のポケットコイルマットレスです。また、シムレスト同様にドイツのOKIN(オキン)製モーターを採用しています。
いびき防止機能、アラーム機能もあります。なお、源ベッドには有線リモコンでアプリや音声での操作を省いたお手頃モデルの「ヘンロ」もあります。
ネルコンシェルジュ/nerum
モーター数 | 2(ドイツOKIN製) |
---|---|
傾斜角度 | 背:0~65度 脚:0~35度 |
リモコン | ワイヤレス |
スマホアプリ | ○ |
音声操作 | ○(オプション) |
USBポート | ○ |
マットレス | ポケットコイル |
サイズ | S / SD |
製造国 | フレーム:中国 マットレス:中国 |
税込価格 | 87,980円~ |
ネルコンシェルジュ(インテリアオフィスワン)の「nerum(ネルム)APP スタンダードモデル」はシムレストやスリーピーと同等の機能を持ちながらさらに低価格です。オプションの睡眠センサーを付けることで、自身の睡眠を分析することもできます。
なお、nerumには有線リモコンに絞った廉価モデルや、デザイン性を向上したプレミアムモデルもあります。
スマホアプリ対応
フランスベッド/UD-101F
モーター数 | 2(ドイツ製) |
---|---|
傾斜角度 | 背:0~60度 脚:0~30度 |
リモコン | 有線 |
スマホアプリ | ○(オプション) |
音声操作 | × |
USBポート | × |
マットレス | 高密度連続スプリング(9種類) |
サイズ | S / SD |
製造国 | フレーム:日本 マットレス:日本 |
税込価格 | 321,200円~ |
フランスベッドは多くの介護ベッドを扱っており、一般用の電動ベッドのラインナップも豊富です。独自の高密度連続スプリングマットレスで選択肢も多くなっています。
「UD-101F」はレッグタイプだけでなく、引き出し付きも選ぶことができ、いかにも電動ベッドというデザインではないのが魅力です。なお、フランスベッドには床板を変えるだけで電動ベッドにできる「電動ユニットTRG」という商品もあります。
ワイヤレスリモコン付き
テンピュール/Zero-G コンフォート
モーター数 | 2(ドイツOKIN製) |
---|---|
傾斜角度 | 背:不明 脚:不明 |
リモコン | ワイヤレス |
スマホアプリ | × |
音声操作 | × |
USBポート | ○ |
マットレス | 低反発ウレタン |
サイズ | S / SD / D |
製造国 | フレーム:中国 マットレス:デンマーク |
税込価格 | 473,000円~ |
テンピュールにはスマホアプリに対応した「エルゴ スマート」もありますが、いかんせん高価です。ここでは「Zero-G(ゼロジー)コンフォート」とのセットを紹介したいと思います。
それでも「プロ プラス」のマットレスをセットすると約47万円。マットレスが高価なのでどうしても総額は高くなってしまいます。しかしながら、電動ベッド専用のマットレスではなく普通のテンピュールがそのまま使えることに魅力を感じる方は少なくないでしょう。
グランツ/グランムーヴ
モーター数 | 2 |
---|---|
傾斜角度 | 背:0~70度 脚:0~30度 |
リモコン | ワイヤレス |
スマホアプリ | × |
音声操作 | × |
USBポート | × |
マットレス | ポケットコイル |
サイズ | S / SD |
製造国 | フレーム:中国 マットレス: 日本 |
税込価格 | 141,500円~ |
お手頃価格が魅力のグランツは電動ベッドもお手頃価格です。「グランムーヴGM-01」は宮付きで、一般的な木製ベッドとほとんど変わらない見た目です。LED照明も付いています。
本体と可動部が連結されていないフリーホイール構造のため、フレームの下に手を挟まれる心配がなく安全です。
ベッドアンドマットレス/G-FREE003
モーター数 | 2(ドイツOKIN製) |
---|---|
傾斜角度 | 背:0~60度 脚:0~30度 |
リモコン | ワイヤレス |
スマホアプリ | × |
音声操作 | × |
USBポート | ○ |
マットレス | ウレタン等(5種類) |
サイズ | S / SD / D |
製造国 | フレーム:中国 マットレス:中国 |
税込価格 | 69,999円~ |
ベッドアンドマットレスの「G-FREE003」はドイツのOKIN製モーターを使いつつワイヤレスリモコンを採用しているのに約7万円からととてもリーズナブルなのが魅力です。ウレタンマットレスのほか、ポケットコイルマットレスなども選ぶことができます。
いびき防止ポジションもあります。また、「G-FREE004」なら入眠後にフラットになるタイマー機能もあります。
有線リモコン付き
パラマウントベッド/INTIME1000
モーター数 | 2 |
---|---|
傾斜角度 | 背:0~75度 脚:0~30度 |
リモコン | 有線 |
スマホアプリ | × |
音声操作 | × |
USBポート | ○ |
マットレス | ウレタン等(3種類) |
サイズ | SS / S / SD |
製造国 | フレーム:日本 マットレス:日本 |
税込価格 | 278,300円~ |
介護ベッド最大手のパラマウントベッドの「INTIME(インタイム)」シリーズも定番です。ベッドメーカーは多くが木工所でフレームを作り、電動ベッドは外注に頼っていますが、パラマウントベッドは自社の鉄工所で、しかも日本国内で作っています。
スタンダードモデルのINTIME1000は機能的には目立ったところはないものの、信頼感はピカイチでしょう。
ニトリ/NS001
モーター数 | 2 |
---|---|
傾斜角度 | 背:不明 脚:不明 |
リモコン | 有線 |
スマホアプリ | × |
音声操作 | × |
USBポート | × |
マットレス | ポケットコイル(5種類) |
サイズ | S / SD |
製造国 | 不明 |
販売価格 | 101,345円~ ※非課税 |
ニトリにももちろん電動ベッドはあります。「NS」シリーズは約10万円からとお手頃価格ながら、見た目は一般的な木製ベッドと変わらないことが魅力。薄型フラットヘッドボードの「NS001」のほか、USB・コンセント付属の棚付きタイプ「NS002」、棚サイド収納付きタイプ「NS003」、照明付きタイプ「NS004」も選ぶことができます。
さらに、ポケットコイルマットレスの選択肢も豊富。お近くのニトリの店頭で試すことができるので安心です。
アテックス/AX-BE635N
モーター数 | 2 |
---|---|
傾斜角度 | 背:0~70度 脚:不明 |
リモコン | 有線 |
スマホアプリ | × |
音声操作 | × |
USBポート | × |
マットレス | ウレタン(固定) |
サイズ | S |
製造国 | 中国 |
税込価格 | 59,800円~ |
アテックスは業界初となる山折り型の収納式ベッドを発売したメーカー。ベッド以外にも様々な健康器具を扱っています。
売れ筋の「AX-BE635N」は2モーター仕様ながら破格の約6万円。しかも、上体を起こす際に頭部から順にゆっくりと上がるWファンクション機能を搭載しています。この価格帯では最強と言って差し支えないでしょう。
1モーター仕様
ニトリ/セレサ3
モーター数 | 1(中国KAIDI製) |
---|---|
傾斜角度 | 背:不明 脚:不明 |
リモコン | 有線 |
スマホアプリ | × |
音声操作 | × |
USBポート | × |
マットレス | ポケットコイル(固定) |
サイズ | S |
製造国 | 中国 |
税込価格 | 54,990円 |
前述のAX-BE635Nは以前はニトリでも扱っていました。現在、ニトリでもっとも低価格の電動ベッドは「セレサ3」です。価格はAX-BE635Nより少し安いですが1モーター。その代わりにポケットコイルなので、マットレスの寿命はある程度は期待できるかもしれません。
なお、モーターは中国のKAIDI(カイディ)製を採用しています。電動ベッドをはじめとする医療機器用モーターでメジャーなメーカーのひとつです。
アイリスオーヤマ/OTB-BDH
モーター数 | 1 |
---|---|
傾斜角度 | 背:0~70度 脚:不明 |
リモコン | 有線 |
スマホアプリ | × |
音声操作 | × |
USBポート | × |
マットレス | ウレタン(固定) |
サイズ | S |
製造国 | 中国 |
税込価格 | 34,800円 |
もっと安いものもあります。アイリスオーヤマの「OTB-BDH」は3万円台です。しかも、完成品なので届いてすぐに使うことができます。
最低限の機能しかありませんが、気軽に試しやすい価格だと思います。
以上、電動ベッドを選ぶ際のチェックポイントを説明したうえで、電動ベッドのデメリットとデメリット、代表的な商品を紹介しました。
あくまで個人的な意見ですが、電動ベッドは電化製品である以上、予期せぬタイミングで壊れることがあると思います。そのときに大手メーカーならサービスネットワークが整っており、修理に来てくれることが期待できます。特にパラマウントベッドやフランスベッドは多くの医療機関や介護施設に納入しているので、対応できなければ困るはずなんですよね。
一方で、修理が必要になる頃にはもっと優れた商品が登場しているかもしれません。そう考えるなら、10万円前後の手頃な電動ベッドを購入して、壊れたら買い替えれば良いと考えるのも良いでしょう。そもそもマットレスも10年前後で買い替えのタイミングが来ることが多いと思います。
それで言うと、源ベッドのスリーピーやネルコンシェルジュのnerumあたりが落としどころとなることが多いでしょうか。ただ、実際に寝て試してみないと自分に合うかどうか分かりません。まずはシモンズのシムレストやニトリのNSなどを店頭で試してみることをオススメします。
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