
眠れない原因は様々な要素が考えられます。日頃のストレスや不安、不規則な生活、喫煙やカフェインの摂取、体の冷え、蒸し暑さ、近所の騒音、配偶者のいびきなど、数え上げればキリがないほどです。
枕や布団が合っていないからだと考える人もいることでしょう。しかし、寝具を買い替えても寝つきが改善されないこともあります。ほかに原因を考えても思い当たることがないという場合は、意外なことが入眠を妨げている可能性があります。それは照明です。
照明が入眠を妨げるとはどういうことでしょうか。詳しく説明したいと思います。
ブルーライトには覚醒作用がある

太陽光には覚醒作用を持つブルーライトが含まれています。ブルーライトとは可視光線の中でも波長が短く、強いエネルギーを持つ光です。太陽光に含まれるブルーライトを浴びることで、目が覚めて体が活動的になります。
スマートフォンやパソコンのディスプレイにもブルーライトが含まれています。就寝前にスマホを見るのは良くないと言われるのはそのためです。
LED照明にも同様にブルーライトが含まれます。目に直接ブルーライトが差し込むスマホに比べるとLED照明は影響が少ないと言えるところはあるものの、LEDシーリングライトは太陽光のように真上からブルーライトが降り注ぐため、体がまだ活動する時間だと錯覚してしまう可能性があります。
ちなみに、白熱電球のあかりにはブルーライトはほとんど含まれませんが、蛍光灯はLED照明と同等もしくは近いレベルで含まれます。蛍光灯なら安心というわけではありませんし、そもそもブルーライトは必ずしも有害なものではないことをご理解いただければと思います。
就寝前は電球色に

自分の体が活動的な時間帯だと錯覚しないようにするためには、就寝前にブルーライトを極力浴びないことが大切です。もっとも良いのは照明を消すことですが、次点として推奨されるのは電球色に切り替えることです。調色機能付きの照明器具ならリモコン操作で簡単に切り替えることができます。
LED照明は青色LEDチップと黄色の蛍光体を組み合わせることで白色の光を作り出しています。そのため、ブルーライトが含まれます。一方で、電球色は赤色の蛍光体を添加することで色温度を低くしているため、青色光の割合が昼光色や昼白色(温白色)に比べて相対的に低くなります。
ただし、電球色のLEDでもブルーライトが完全にゼロというわけではありません。そのため、天井照明を電球色に切り替えるよりも照明を消して真っ暗にする方が確実にブルーライトをシャットアウトできるわけです。
サーカディアンリズム対応器具がおすすめ
とは言え、就寝時刻になってから天井照明が昼光色のままになっていることに気付くこともあるでしょう。実際、私もしょっちゅうやらかしています(苦笑)
そんな方にはタイマーで色温度の切り替えを設定できる照明器具がオススメです。パナソニックの「おまかせモード」、オーデリックの「LC-FREE CIRCADIAN」対応モデルなどがこれに該当します。一般的な調色機能付きのシーリングライトと比較すると少し割高ですが、手間なく体内時計を整えられるメリットは大きいと思いますよ。
照明は足元がベター

照明器具の光の色を変えるだけでなく、その位置も工夫してみましょう。太陽のように上から光が降り注ぐと、頭に近いということもあり、覚醒作用が生じやすくなります。心身をリラックスさせるためには下から照らすようにしましょう。足元灯を使うのがもっとも手軽です。
ブルーライトは決して有害なものではありません。むしろ体内時計をリセットしてくれる有益なものです。文字がくっきり見えるのも、仕事や勉強に集中できるのも、ブルーライトのおかげと言っても過言ではないでしょう。
ただ、現代人はその便利さに慣れて、あかりに無頓着になってしまいました。夜間でも太陽光のようなブルーライトを浴び続けて頭と体が活動的になっているのに、照明をオフにしたからと言っていきなり頭と体も休息状態にはならないのです。
なかなか寝付けない、もしくは入眠をよりスムーズにしたいとお考えなら、就寝前の最低でも1時間前には天井照明などを電球色に切り替えるようにしてください。また、天井照明だけに頼らず、間接照明や足元灯も活用するようにしましょう。節電にも繋がって一石二鳥です。
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