
マットレスは「テンピュール」のように10年保証が付いているものもありますが、一般的に7年程度の寿命のものが多いと言われています。しかし、マットレス全体がへたってしまうわけではなく、傷むのは主に表面近くのウレタンや綿などの詰め物です。
詰め物がへたって体圧分散性が悪化すると、腰が痛くなったり、寝返りを打ちにくくなります。そうなったときにマットレスの買い替えを検討するわけですが、ほかにマットレスの上にトッパーを敷くことで寝心地を改善するという方法も考えられます。
しかし、主に腰あたりが凹んだ状態のマットレスにトッパーを敷いても、よほど厚手のトッパーを敷かない限りは全体としては凹みをカバーできません。また、マットレス全体の厚みが増すため、マットレスに腰かけた状態の足つきが変わったり、これまで使っていたシーツが合わなくなってしまうこともあります。ヘッドボードの棚が隠れてしまうということもあるかもしれません。
マットレスの表面に近い部分が傷んできたときに、そこだけ交換できるマットレスがあったら素敵だと思いませんか。形状としてはトッパー仕様のマットレスがそれに当たるのですが、残念ながらほとんどは交換用のトッパーを販売しているわけではありません。多くはトッパーが傷んだらボトムマットレスも含めて全て買い替える必要があります。
しかしながら逆に言うと、別売の専用トッパーが用意されているマットレスも存在します。今回はそういったマットレスをご紹介したうえで、それでは選択肢が少ないため、同様の効果を得る方法についても説明したいと思います。
※この記事は2025年6月21日時点の情報に基づいています
別売トッパーがあるマットレス6選
ナフコ21スタイル/グランリーヴェTS

税込価格 | セット | 59,800円~ |
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トッパーのみ | 31,800円~ | |
種類 | ポケットコイル | |
サイズ | 970×1950×310(100+210)mm | |
ラインナップ | S / D | |
製造国 | 中国 |
もっとも積極的に別売トッパーを展開しているのはナフコ21スタイルの「グランリーヴェ」シリーズだと思います。「TS-501」と上位の「TS-601」があり、それぞれに別売のトッパーが用意されています。また、「TS-401」は別売トッパーの用意がないものの、TS-501または601のトッパーをセットすることも可能です。
ただ現状、別売トッパーのサイズ展開とマットレスのそれが一致しません。おそらく販売終了を見込んでいるのだと思います。我が家では旧モデルのTS-400を使っていましたが、リニューアルされた現行モデルはまったく異なる寝心地です。今後の展開にもあまり期待できないのかもしれません。
コイズミファニテック/ユニクス
税込価格 | セット | 59,800円 |
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トッパーのみ | 29,800円 | |
種類 | ポケットコイル | |
サイズ | 970×1950×280(100+180)mm | |
ラインナップ | S / SD / D | |
製造国 | 中国 |
コイズミファニテックの「ユニクスKAS-378」は前述のグランリーヴェと同じくルービックJPが製造しています。私も実物は試していませんが、我が家で使っていたグランリーヴェTS-400にかなり近いと思われます。やわらかく包み込まれるような印象の寝心地です。
やわらかいマットレスは一般的に寿命が短いです。我が家のTS-400も5年でへたってしましました。それでもトッパーを買い替えることができればとても合理的です。
ただ、ユニクスも後から別のトッパー仕様「KAS-453」が登場しています。こちらは別売トッパーの用意がありません。
双日九州/ココイル

税込価格 | セット | 98,000円 |
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トッパーのみ | 34,800円~ | |
種類 | ポケットコイル | |
サイズ | 970×1950×270(90+180)mm | |
ラインナップ | S / SD / D | |
製造国 | 中国? |
「ココイル」は双日九州が展開するマットレスのブランドです。双日九州の名前はあまり表に出ませんが、ナフコなどホームセンターに組立家具などを卸しています。
ココイルもルービックJPが製造していますが、ナフコやコイズミファニテックに比べると高価です。これは120日間のフリートライアルが設定されているほか、5年保証、スキンケア効果が期待できる「SKIN+」という生地を使っておりコストが掛かっているためと考えられます。ほかで扱っているSKIN+を使ったマットレスも10万円以上します(製造元はおそらく同じですが)。
ちなみに、同様に120日間のフリートライアル、1700個以上のポケットコイル、同じメーカーで作られている「NELL(ネル)マットレス」が税込75,000円ですから、それと比べても少し高いだけと言えるでしょう。なお、トッパーは裏表で寝心地を調節することができます。
cacom/アンサンブル
税込価格 | セット | 37,800円~ |
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トッパーのみ | 17,800円~ | |
種類 | ポケットコイル / 低反発ウレタン | |
サイズ | 970×1950×240(110+130)mm | |
ラインナップ | S / SD / D / Q | |
製造国 | 不明 |
もともとビックスリーが、現在はナカバヤシが運営するcacom(カコム)の「アンサンブル」は、ポケットコイルと低反発ウレタンの2種類のトッパー仕様マットレスをラインナップしています。我が家はグランリーヴェTS-400のトッパーがへたったので、アンサンブルのポケットコイルトッパーに買い替えました。
こちらは製造元はおろか、製造国すら一切記載していません。全体の品質はお世辞にも高いとは言えないものの、ほかと比べると価格が手頃なのが魅力です。
シーリー/リバーブルE
税込価格 | セット | 118,800円~ |
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トッパーのみ | 37,400円~ | |
種類 | ポスチャーテックコイル / ウレタン | |
サイズ | 970×1950×328(100+228)mm | |
ラインナップ | S / SD / D / WD / K | |
製造国 | 日本 |
大手ベッドメーカーでも別売のトッパーが用意されているマットレスがあります。シーリーの「リバーブルE」はスタンダード、3ゾーンレイヤー、プレッシャーリリーフ・インレーの3タイプのトッパーがラインナップされています。いずれのトッパーもウレタンがメインですが、スタンダード以外にはジェルラテックスや低反発素材も使われています。なお、3タイプとも表面はソフト、裏面はハードとなっており、寝心地の調整が可能です。
ベースマットレスはシーリー独自のポスチャーテックコイルを採用。ボンネルコイルのように連結されているものの、ポケットコイルのようにコイルが体の凹凸に合わせて動くもので、ボンネルコイルの耐久性とポケットコイルの体圧分散性を両立させたものと言えます。
西川/AiR
税込価格 | マットレス | 49,545円~ |
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ベースマット | 37,400円 | |
種類 | ウレタン | |
サイズ | 970×1950×150(80+70)mm | |
ラインナップ | S / SD / D | |
製造国 | 日本 |
トッパーが別売されているマットレスとはちょっと違うのですが、西川の「AiR(エアー)」はマットレスの下にベースマットを敷くことで同様の効果を得ることができます。
もっとも、これをアリとするなら、敷布団の下にウレタンマットレスを敷くのも同様にアリと言えます。別売のトッパーをラインナップしているマットレスが一向に普及しないのは、販売員があまり前向きに捉えていないだけでなく、消費者もマットレスの上に市販のトッパーを敷けば良いんじゃないかとフランクに考えているためとも考えられるでしょう。
別売トッパーがあってもコスパ悪い!?

上に挙げた別売のトッパーが用意されているマットレスは安くて3万円台、高いものは10万円を超えます。それでもトッパーさえ買い替えれば長く使うことができてコスパが良いと言えるものの、もっとも手頃なcacomのアンサンブルで17,800円、それ以外は3万円以上となっています。それなら安いマットレスを普通に買い替えたほうが良いんじゃないかと思われる方もいらっしゃるかもしれません。
一方で、たとえばコイズミファニテックのユニクスが約6万円として、トッパーを5年後に約3万円で買い替えるとしたら、5年後に約6万円で別のマットレスを購入する場合の半額で済むと考えることもできます。約3万円のマットレスを5年おきに買い替えるよりも寝心地の満足度は高いはずです。
しかしながら、ここ数年の動きを見ていると、消費者としてはあまりメリットを感じていないようです。10万円以上が当たり前の家具店もありますが、ニトリでは売れ筋上位10位までがほぼ1万円以下というのが現実です。上位20位まで見ても2~4万円台は数えるほどしかランクインしていません。
そんなわけで、別売のトッパーが用意されているマットレスに魅力を感じる消費者は少ないようで、メーカーおよび販売店は取扱いを減らしているように見えます。あまり認知が進んでいないだけと考えることもできるものの、トッパーはあくまで寝心地改善のために、いま使っているマットレスの上に置いて使うものという認識が一般的なのではないでしょうか。
ちなみに、私が収納のプロとしてお邪魔するクライアント宅でも、マットレスの上に敷布団を敷いて寝ているお宅が少なくありませんでした。初めて見たときは衝撃的でしたけど、逆に理想の寝具について考える良い機会になったというのも事実です。
マットレスをトッパー仕様にする方法

ここまで見てきた通り、別売のトッパーが用意されているマットレスは選択肢が限られています。また、トッパーの買い替えが期待できると思って購入したのに、仕様が変わってしまっていたり、廃番になってしまう可能性も否定できません。
それなら最初から過剰な期待を持たずに、自分でマットレスをトッパー仕様に仕立て上げることを考えるのも一案でしょう。その方法について、以下、詳しく説明します。
ベースマットの条件

現状、トッパー単品で販売されているものはありますが、ベースマット(ボトムマット)単品で販売されているものは西川のAiR以外に見当たりません。では、どういったものを選べば良いのでしょうか。
一般的なマットレスをベースマットして使うというのも悪くない方法です。ただ、コイルマットレスなどの場合、コイルの上にウレタンや綿などの詰め物が重ねられています。
マットレスの表面は体圧を分散させるためにやわらかく、中間層は荷重を面で受け止めるために硬めで、下層は衝撃を吸収させるためにやわらかめにする、というのが基本的な考え方です。しかし、普通のポケットコイルマットレスを2枚重ねると、下のマットレスの表面がやわらかいため、中間層が安定しません。ですから、ベースマットは表面の詰め物が少ないことが理想的です。実際、トッパー仕様のマットレスのベースマットは表面の詰め物が少ないことが一般的です。
つまり、ベースマットは表面の詰め物に工夫を凝らした高級なものよりも、廉価なもののほうが理に適います。さらに付け加えると、あまりやわらかいのは良くありません。荷重をしっかり支えてくれる硬めのほうが良いです。また、通気性の良いものが好ましいと言えるでしょう。トッパーから下りてきた湿気がベースマットの内部に籠るのは好ましくありませんからね。
以上を踏まえると、もっとも理想的なのはファイバー、ボンネルコイル、ポケットコイルなどです。ただ、ファイバーマットレスは高価なものが多いので、高反発ウレタンでも良いと思います。実際に私は高反発ウレタンをベースマットとして使用していますが、湿気が籠って傷むようなことはありません。
トッパーの条件

ベースマットを選ぶのは難しいですが、トッパーは簡単です。自分の好みに合うものを選んでもらえば良いでしょう。寝心地に大きく影響するのはトッパーのほうですからね。
低反発ウレタン、高反発ウレタン、ファイバー、ポケットコイルなど、何でもOKです。サイズさえ合えば敷布団でも良いと思います。低反発ウレタンやファイバーマットレスは厚みが増すほど高価で手が出にくくなりますが、廉価なベースマットで厚みを補えればトータルのコストを抑えることができます。傷んできても気軽にトッパーだけを買い替えることができますよね。
なお、トッパーとベースマットのトータルの厚みは30cm以下に抑えましょう。それ以上に厚みを持たせてもこれといったメリットはありません。逆に、腰掛けにくい高さになってしまったり、サイズの合うシーツが少ないなど、デメリットのほうが多くなってしまいます。トッパーは10cm以下、ベースマットは10~20cm程度というのが目安です。
ちなみに、私自身はタンスのゲンの高反発ウレタン(密度:30D/硬さ:230N/厚み:20cm )の上に低反発ウレタン(硬さ:75N/厚み:8cm)を重ねて使用していますが、これがベストだと思っているわけではありません。ベースマットは妻のマットレスと合わせるために高くしただけで本当は10cmもあれば十分ですし、湿気の問題はないもののコイルのほうが通気性や衝撃吸収性の面で優れると考えています。
それで言うと、3万円台で買えるcacomの「アンサンブル」をとりあえず使って、トッパーが傷んできたら別のトッパーを探すというのは合理的な方法だと思います。アンサンブルではちょっとチープに感じる場合はコイズミファニテックの「ユニクス KAS-453」などを選ぶのも良いでしょう。ちなみに、ユニクスKAS-453は包み込まれるようなやわらかさ、アンサンブルはポケットコイルと低反発ウレタンの2種類のトッパーがありますが、いずれもふつう~やや硬め程度です。
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